- テクニカルSEOとコンテンツSEOが担う工程の違い
- 伸びない原因がどちら側にあるかを切り分ける3つの手順
- それぞれに原因があるときに現れる具体的なサイン
- どちらから着手するかを決める4つの判断材料
検索順位が思うように動かないとき、原因がサイトの作りにあるのか、記事の中身にあるのかで打ち手はまったく変わります。テクニカルSEOとコンテンツSEOという分け方は、その判断をするための地図として使うと役に立ちます。
用語としての違いは、調べればすぐに出てきます。テクニカルSEOは検索エンジンがサイトを巡回して理解するための整備、コンテンツSEOは検索した人の疑問に答える中身の整備。ここまでは多くの記事が同じ説明をしています。ただ、実務で困るのはその先です。すでに記事を何十本も出していて、それでも数字が動かない。このとき、どちらを疑えばいいのか。
この記事では、2つの役割分担を整理したうえで、いま伸びていない原因がどちら側にあるのかを切り分ける手順を中心に書きます。片方だけを一生懸命やっても成果が出ない状態は珍しくありません。順番を決めるところから始めるのが、遠回りに見えて一番早い進め方になります。
前提として、どちらが優れているという話ではありません。両方が必要で、ただし着手の順番には明確な根拠があります。その根拠をどこから拾うかも含めて説明します。
テクニカルSEOとコンテンツSEOの役割分担

2つの違いを一言でいうと、担当している工程が違います。検索結果に自分のページが並ぶまでには、クロールされる、インデックスされる、順位が付く、クリックされる、という段階があります。テクニカルSEOは前半、コンテンツSEOは後半を主に担当しています。
テクニカルSEOが担うのは検索対象に載せるところまで
テクニカルSEOは、検索エンジンのクローラーがサイトを巡回でき、ページの内容を正しく読み取り、インデックスに登録できる状態をつくる施策です。具体的には、サイトマップの送信、URLの正規化、内部リンクによる階層設計、robots.txtやnoindexの設定、構造化データ、表示速度やモバイル表示の改善などが含まれます。
この領域の特徴は、できているかいないかがはっきりすることです。インデックスされているかどうかはSearch Consoleで確認できますし、noindexが付いているかはページのソースを見れば分かります。判断に迷いが少なく、直せば結果も比較的早く出ます。
一方で、テクニカルSEOだけで順位が上がるわけではありません。検索対象に載ることと、載ったうえで上位に来ることは別の話だからです。
コンテンツSEOが担うのは選ばれる理由をつくるところ
コンテンツSEOは、検索している人が何を知りたいのかを読み取り、それに答えるページをつくる施策です。キーワードの選定、検索意図の整理、記事構成、本文の執筆、公開後のリライト、関連記事の設計といった作業が該当します。
こちらは正解が1つに決まりません。同じキーワードでも、上位に並んでいるのが比較記事なのか手順記事なのかで、書くべき中身が変わります。検証に時間がかかり、直した結果が出るまでにも間があります。
Googleはページエクスペリエンスの解説の中で、ページの体験が多少劣っていても最も関連性の高いコンテンツを表示しようとする、と説明しています(出典: https://developers.google.com/search/docs/appearance/page-experience )。技術的な整備は検索での成功に寄与しうるものの、中身の関連性の代わりにはならないという位置づけです。
2つが重なる領域もある
きれいに二分できない部分もあります。タイトルタグや見出しの付け方は、検索エンジンにページの内容を伝える技術的な要素であると同時に、クリックするかどうかを左右する中身の要素でもあります。内部リンクも、クローラーの巡回経路であると同時に、読者の回遊導線です。
この重なりは、担当が分かれている組織ほど落ちやすい部分です。開発チームは記事の中身に踏み込まず、編集チームはタグの話を開発任せにする。結果として、どちらの施策リストにも載らないまま放置されます。伸び悩んでいるサイトを見ていくと、この境界線上に手つかずの改善点が残っていることがよくあります。
伸びない原因がどちら側にあるかを切り分ける手順

ここからが本題です。すでに運用しているサイトで数字が動かないとき、上から順に見ていくと原因の側が絞り込めます。順番が重要で、上の段が通っていない状態で下の段を直しても数字は変わりません。
手順1 インデックスされているかを確認する
最初に見るのは、対象のページが検索対象に入っているかどうかです。Search Consoleのページインデックス登録レポートと、URL検査ツールで確認します。site:検索は補助的な確認にはなりますが、正確な判定はSearch Consoleで行います。
ここで登録されていないページが多いなら、原因はテクニカル側にあります。記事を追加しても、そもそも検索対象に入っていなければ表示回数は増えません。この段階で執筆を続けるのは、蛇口を閉めたままバケツを運んでいるようなものです。
手順2 表示回数が出ているかを見る
インデックスされているなら、次は検索パフォーマンスレポートで表示回数を見ます。表示回数がほぼゼロなら、インデックスはされているが検索結果の上位100位圏内にも入っていない状態で、中身の競争力が足りていない可能性が高くなります。
表示回数がそれなりに出ているなら、検索結果には並んでいるということです。この時点で、クロールやインデックスの問題はほぼ除外できます。原因はコンテンツ側か、後述するクリック率の問題に絞られます。
手順3 順位が低いのか、クリックされていないのかを分ける
表示回数があるページについて、平均掲載順位とクリック率を見ます。順位が2ページ目前後で止まっているなら、中身の作り込みや検索意図との一致度が論点です。順位は1ページ目なのにクリック率が低いなら、タイトルとメタディスクリプションの書き方が論点になります。
この切り分けをせずにリライトを始めると、本文を全面的に書き直したのにタイトルはそのまま、という抜け方をします。順位の問題と、クリックされない問題は、直す場所が違います。
ここがポイント
切り分けの結果は記録に残す。同じページを3か月後に見直すとき、前回どの段で引っかかっていたかが分かると、打ち手の効果を判定できる。
テクニカル側に原因があるときのサイン

切り分けの手順1で止まった場合、具体的にどんな状態が起きているのか。現場でよく見る形を挙げます。
公開してもインデックスされない
記事を公開して1週間以上経っても検索対象に入らない。Search Consoleで「検出 - インデックス未登録」や「クロール済み - インデックス未登録」が増えている。この状態は、記事の本数を増やしても改善しません。
原因としては、noindexの設定ミス、robots.txtでの誤ったブロック、サイトマップが古いまま、内部リンクがどこからも張られていない孤立ページ、といったものが典型です。リニューアルの直後に発生することが多く、開発側の作業とSEOの担当者の間で共有されないまま数か月が過ぎているケースもあります。
なお、クロールの割り当てそのものを気にする必要があるサイトは限られます。Googleの解説では、クロールバジェットの最適化ガイドの対象を、100万ページ以上で内容が週単位で変わるサイト、あるいは1万ページ以上で内容が日単位で変わるサイトとしており、公開したページが当日中にクロールされているようなサイトはこのガイドを読む必要がないと明記しています(出典: https://developers.google.com/search/docs/crawling-indexing/large-site-managing-crawl-budget )。数百ページ規模のメディアであれば、クロールバジェットよりも先に見るべき設定があります。
同じ内容が複数のURLで開ける
カテゴリやタグ、絞り込み検索のパラメータによって、実質的に同じ内容のページが別URLでも表示される状態です。正規化のcanonicalが設定されていないと、評価が分散したり、意図しないURLが検索結果に出たりします。
ECサイトや求人サイトのようにページが自動生成される型のサイトでは、この問題が規模に比例して大きくなります。記事型のメディアでも、ページネーションや日付アーカイブで似た状況が起きます。
スマートフォンでの表示に問題がある
本文が読める状態まで時間がかかる、広告やバナーで本文が隠れる、タップできる要素が近すぎる。こうした状態は、検索エンジンからの評価という以前に、たどり着いた読者が離脱する要因になります。
ただし、表示速度の改善は投資対効果を見極めるべき領域でもあります。前述のとおり、Googleはページ体験がコンテンツの関連性を置き換えるものではないと説明しています。読み込みに10秒かかるような極端な状態は直すべきですが、すでに標準的な速度が出ているサイトで、さらに数百ミリ秒を削るために大きな開発工数を使う判断は慎重にした方がよい場面が多くなります。
コンテンツ側に原因があるときのサイン

切り分けの手順2や3で止まった場合は、中身の問題です。こちらは技術的なエラーとして表示されないぶん、放置されやすい傾向があります。
表示回数はあるのに順位が上がらない
検索結果には出ているものの、平均掲載順位が11位から30位あたりで止まっている状態です。インデックスも内部構造も問題なく、単純に他の記事の方が良い答えを返していると判断されています。
この位置にいる記事は、立て直しの観点では有望です。ゼロから記事を書くより、すでに評価されている記事を引き上げる方が短期で結果が出やすいためです。どこが足りないのかは、実際に検索して上位のページを読み、自分の記事に無い項目を洗い出すところから分かります。
検索意図と答え方がずれている
キーワードは合っているのに、求められている形式で答えていないパターンです。上位が料金の比較表を出しているのに、こちらは用語の解説だけで終わっている。あるいは、手順を知りたい検索なのに、概念の説明が本文の半分を占めている。
検索意図は推測で決めず、実際の検索結果を見て判断します。上位10件がどういう構成で、どんな見出しを持っているかを書き出すと、その検索で何が期待されているのかが見えてきます。
近いテーマの記事が分散している
同じような内容の記事が複数あり、検索エンジンがどれを出せばよいか判断しづらい状態です。オウンドメディアを数年運用していると、担当者が変わるタイミングでこれが発生します。
対処は、統合するか、役割を分けるかのどちらかです。統合する場合は、残す1本に情報を集約し、他方はリダイレクトします。役割を分ける場合は、それぞれの記事が狙う検索の場面を明確に変え、内部リンクで関係を示します。どちらを選ぶかは、対象の記事が集めている表示回数を見て決めます。
注意したいこと
記事を削除する判断は、表示回数とコンバージョンの両方を確認してから行う。検索流入が少なくても、問い合わせ前に読まれているページは残す価値がある。
どちらから手を付けるかの判断基準

一般論としてどちらが先かを決めることはできません。サイトの状態で変わります。上から順に確認して、最初に引っかかったところが着手点になります。
インデックス状況が最優先
主要なページが検索対象に入っていないなら、議論の余地なくテクニカルが先です。検索結果に出ていないページは、どれだけ良い内容でも読まれません。ここが通っていない状態でコンテンツ制作の予算を使うのは、成果が出ない使い方になります。
ページ数と更新頻度で影響度が変わる
ページ数が多く、システムで自動生成される部分が大きいサイトほど、テクニカル側の設定ミスが全体に及びます。1つのテンプレートの誤りが数千ページに波及するためです。
逆に、手作業で記事を積み上げている数十ページから数百ページ規模のメディアでは、テクニカル側で直せる範囲には限りがあります。基本的な設定が済んでいれば、伸びしろの大半は中身の側にあります。
サイトの型と体制で現実的な順番を決める
データベース型のサイトは構造の最適化が効きやすく、記事型のメディアは中身の改善が効きやすい傾向があります。ただ、実務ではもう1つの変数があります。直せる体制があるかどうかです。
テクニカル側の改修は開発チームへの依頼が必要になることが多く、依頼から反映まで数週間かかることも珍しくありません。一方でコンテンツの改善は編集側だけで着手できます。着手までのリードタイムが長い施策は早めに依頼を出し、その待ち時間で編集側の改善を進める。この組み方にすると、どちらかが止まっている期間をつくらずに済みます。
止まっているサイトを立て直すときの進め方

ここまでの切り分けを、更新が止まっているサイトに当てはめるとどうなるか。過去に運用していたが放置されている、担当者がいなくなった、という状態からの再開を想定して整理します。
計測環境を取り戻すところから始める
まず、Search ConsoleとGoogleアナリティクスが正しく動いているかを確認します。所有権の確認が切れている、計測タグがリニューアルで外れている、といった状態だと、そもそも判断材料がありません。
サイトマップが古いまま送信されている場合は更新します。この段階では改善施策ではなく、現状を正しく読める状態をつくることが目的です。判断材料が無いまま施策を選ぶのが、立て直しで一番多い失敗です。
土台の修復は範囲を絞って短期で終わらせる
テクニカル側の課題は、見つけようとすればいくらでも出てきます。放置しているサイトなら、指摘事項が数十件並ぶこともあります。ここで全部を直そうとすると、着手から数か月が経過し、その間コンテンツ側が1ミリも進みません。
絞り込む基準は、インデックスを妨げているかどうかです。noindexの残り、robots.txtのブロック、canonicalの誤り、404が大量に出ている内部リンク。ここを先に片付け、細かい構造化データの拡張や速度の微調整は後回しにします。
記事は全部ではなく順位が惜しいものから
コンテンツ側の再開も、全記事の見直しから入ると終わりません。表示回数があって順位が11位から30位の記事を抽出し、そこから着手します。すでに検索エンジンに認識されていて、あと一歩の位置にある記事が最も短期で動きます。
新規の記事制作は、この修復が一巡してから本数を戻していく方が、投下した工数に対する結果が見えやすくなります。止まっていた期間が長いほど、いきなり本数を追わずに、1本あたりの精度を上げる進め方が向いています。
よくある質問
テクニカルSEOは一度やれば終わりですか
一度整えれば当面は持ちます。ただし、サイトのリニューアル、CMSの入れ替え、テンプレートの変更といったタイミングで設定が巻き戻ることがあります。大きな改修の前後にはインデックス状況を確認しておくと、気づかないまま数か月が過ぎる事態を避けられます。
コンテンツSEOだけで順位は上がりますか
基本的な技術要件が満たされているサイトであれば、中身の改善で順位が動くことはあります。逆に、インデックスされない状態のままでは、どれだけ記事を追加しても検索からの流入は増えません。切り分けの手順1で問題が無ければ、中身に集中する判断は合理的です。
社内にエンジニアがいない場合はどうすればいいですか
インデックスを妨げる設定の確認までは、Search Consoleとページのソース表示で担当者が自力でできます。そのうえで、修正が必要な箇所を特定してから開発会社に依頼すると、依頼内容が具体的になり、やり取りの往復が減ります。何が問題か分からないまま丸ごと相談するより、費用も工数も抑えられます。
両方を同時に進めることはできますか
できますし、リードタイムの違いを考えると同時進行が現実的な場面も多くあります。ただし優先度は付けます。インデックスの問題が残っている状態では、コンテンツ側の成果が数字に現れないため、効果の判定ができなくなるためです。
まとめ
テクニカルSEOとコンテンツSEOの違いを、用語の定義ではなく実務の判断に使う形で整理しました。要点を挙げます。
- テクニカルSEOは検索対象に載せるまで、コンテンツSEOは載ったうえで選ばれるための施策で、担当している工程が違う
- 伸びない原因は、インデックス状況、表示回数、順位とクリック率の順に見ていくと、どちら側かが絞り込める
- インデックスされていないならテクニカルが最優先で、この段階で記事を増やしても流入は増えない
- 表示回数があって順位が11位から30位の記事は、立て直しで最も短期に動かしやすい対象になる
- 着手順は、インデックス状況、ページ数と更新頻度、サイトの型、直せる体制の4つを上から見て決める
どちらが正しいかを決める話ではなく、いまのサイトがどの段でつまずいているかを見つける話です。切り分けができれば、次の3か月で何をするかは自然に決まります。逆に、切り分けをしないまま施策を並べると、手は動いているのに数字が動かない期間が続きます。順番を決めるところから始めてください。
