- 事業目標から必要な訪問数を逆算してキーワードを選ぶ手順
- 有料ツールを使わずに候補キーワードを集める4つの方法
- 検索結果の顔ぶれから勝てるかどうかを判断する見方
- 成果が出ないサイトでのキーワードの選び直し方
記事を書く前にキーワードを決めようとして、ツールで出した候補を検索数の多い順に並べたところで手が止まる。あるいは、キーワードを決めて何十本も記事を出したのに、アクセスはあっても問い合わせにつながらない。どちらも、キーワード選定でつまずいたときに起きやすい状況です。
どちらも原因は同じで、選定の基準が「検索されている数」だけになっていることです。検索数は、その言葉を調べる人がどれくらいいるかを示す数字にすぎません。自社の商談につながるかどうか、今のサイトで上位に届くかどうかは、別の物差しで測る必要があります。
この記事では、事業目標から逆算してキーワードを選ぶ手順を、有料ツールが無くても進められる範囲で順番に説明します。後半では、すでに記事を出したものの選定がうまくいかなかったサイトが、どこから選び直せばよいかも扱います。
結論を先に書くと、キーワード選定は「どの成果につなげたいか」を決め、その成果に近い言葉から、今のサイトで勝てるものを選ぶ作業です。検索数の多さは、最後に並び順を整えるときの参考として使います。
キーワード選定の前に決めておくこと

キーワードを探し始める前に、記事で何を達成したいのかを数字で決めておきます。ここが曖昧なまま候補を集めると、どの言葉も同じように大事に見えてしまい、優先順位がつけられません。上位の解説記事の多くも手順の最初に目的やペルソナの設定を置いていますが、ここでは判断に使える形まで具体的にします。
成果地点を1つに決める
最初に、ブログやオウンドメディアから最終的に起きてほしい行動を1つに絞ります。問い合わせ、資料請求、無料相談の申し込み、会員登録など、サイトによって答えは変わります。
複数の成果を同時に追うと、キーワードの評価がぶれます。たとえば問い合わせと採用応募の両方を目的にすると、「SEO 対策 方法」と「SEO 求人」は同じ表に並びますが、比べる意味がありません。目的が複数ある場合は、キーワードの管理表を目的ごとに分けて作ります。
目標件数から必要な訪問数を割り戻す
成果地点が決まったら、月に何件ほしいかを置き、そこから必要な訪問数を割り戻します。以下は計算の流れを示すための仮の数字です。
| 項目 | 仮の数字 | 考え方 |
|---|---|---|
| 月の目標問い合わせ数 | 10件 | 営業が対応できる件数から決める |
| ブログ経由の問い合わせ率 | 0.5% | 自社の過去データで置き換える |
| 必要なブログ訪問数 | 月2,000件 | 10件 ÷ 0.5% |
| 1記事あたりの想定訪問数 | 月100件 | 既存記事の実績から置く |
| 必要な記事数の目安 | 20本前後 | 2,000件 ÷ 100件 |
問い合わせ率や1記事あたりの訪問数は、業種やサイトによって大きく違います。表の数字をそのまま使わず、自社のアクセス解析の実績に置き換えてください。実績がまだ無いサイトでは、最初の数か月の数字が出た時点で計算をやり直す前提で、仮置きのまま進めます。
この計算をしておくと、「月に数十回しか検索されない言葉を狙っても意味があるのか」という迷いに答えが出ます。成果に近い言葉であれば、少ない訪問でも目標に届く計算が成り立つからです。
問い合わせまでの距離でキーワードを分ける
目標が決まったら、キーワードを「問い合わせまでの距離」で3つの層に分けて考えます。
- 近い層: 依頼先や費用を比べている段階の言葉。例「SEO 会社 選び方」「SEO 外注 費用」
- 中間の層: 具体的な悩みを解決しようとしている段階の言葉。例「検索順位 下がった 原因」
- 遠い層: 用語や概要を調べている段階の言葉。例「SEO とは」
検索数だけで並べると、遠い層の言葉が上に来やすくなります。成果につなげたいなら、近い層と中間の層から書き始めるのが順番です。遠い層の記事は認知の入口として役に立ちますが、読者はまだ依頼先を探す段階にいないため、それだけで問い合わせが増えることは期待しにくいからです。
ツールを使わずに候補キーワードを集める方法

キーワード選定の解説では、有料ツールで競合サイトの流入キーワードを調べる方法がよく紹介されます。便利な方法ですが、ツールが無いと始められないわけではありません。むしろ最初の候補は、自社と顧客の手元にある言葉から拾うほうが、成果に近い候補がそろいます。
営業・問い合わせの記録から言葉を拾う
最も成果に近い候補は、実際の顧客が使った言葉です。問い合わせフォームの自由記述、商談の議事録、営業担当が受けた質問、カスタマーサポートへの相談内容を読み返し、顧客が自分の状況をどう表現しているかを書き出します。
たとえば社内では「コンテンツSEO」と呼んでいても、顧客は「ブログを書いているのにアクセスが増えない」と話しているかもしれません。キーワードの候補になるのは後者の言い回しです。
Googleのサジェストと関連する検索を使う
候補の言葉をGoogleの検索窓に入れると、入力の途中で予測候補(サジェスト)が表示されます。Googleのヘルプでは、予測候補には実際に行われた検索が反映され、言語や地域、注目されている話題なども考慮されると説明されています。
https://support.google.com/websearch/answer/7368877?hl=ja
候補の言葉のあとに空白を入れると、組み合わせて検索されている語が出てきます。検索結果ページの下部に表示される関連する検索も合わせて見ると、同じテーマで読者が次に何を調べるかが分かります。サジェストはログイン状態の検索履歴にも影響されるため、確認するときはシークレットウィンドウを使うと偏りを減らせます。
Search Consoleのクエリを掘り起こす
すでにサイトを運営しているなら、Google Search Consoleの検索パフォーマンスレポートが最も確かな情報源です。クエリごとに表示回数、クリック数、クリック率、平均掲載順位を確認できます。
https://support.google.com/webmasters/answer/7576553?hl=ja
見るべきなのは、表示回数はあるのに掲載順位が低いクエリです。意図して狙っていないのに表示されている言葉は、Googleがサイトとの関連を認めている言葉であり、専用のページを作れば上位を狙える候補になります。
候補は顧客の言葉のまま残す
集めた候補は、社内用語に言い換えずにそのまま残します。GoogleのSEOスターターガイドでも、ユーザーがコンテンツを探すときに使いそうな言葉を考えること、同じテーマでも人によって検索の仕方が違うことが説明されています。
https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/seo-starter-guide?hl=ja
同じガイドでは、キーワードメタタグをGoogle検索は使っていないこと、同じ言葉を過剰に繰り返すことはスパムに関するポリシーに違反しうることも明記されています。選んだキーワードは、読者の疑問に答える見出しと本文で自然に扱えば十分です。
検索結果を見て、勝てるかどうかを判断する方法

候補が集まったら、1つずつ実際に検索し、上位に並ぶページを見て勝てるかどうかを判断します。競合の強さを数値で出すツールはありますが、検索結果を自分の目で見るほうが、その言葉で何を求められているかまで分かります。
上位10件のページの種類を確認する
最初に、上位に並ぶのがどんな種類のページかを確認します。解説記事が並ぶのか、サービスの紹介ページが並ぶのか、比較サイトやECサイトの一覧が並ぶのかで、求められているものが違います。
上位がサービスページばかりの言葉にブログ記事で挑んでも、検索者の求めるものと形がずれます。逆に、解説記事が並ぶ言葉にサービスページだけで挑むのも同じです。自社が用意できるページの種類と、上位の種類がそろっているかを先に見ます。
検索意図が自社の提供物と合うかを見る
次に、上位の記事の見出しを読み、検索者が何を知りたがっているかを確かめます。そのうえで、答えの先に自社のサービスがつながるかを考えます。
たとえば「SEO 独学」で検索する人の多くは、外注せずに自分で学ぶ方法を探しています。SEOの支援会社がこの言葉で上位を取れても、問い合わせにつながる割合は低いと考えるのが自然です。書くかどうかは、成果地点との距離で判断します。
上位の顔ぶれから入り込む余地を探す
上位10件が大手メディアや公的機関、業界の有名サイトで埋まっている言葉は、立ち上げ間もないサイトでは届きにくい言葉です。一方で、小規模なサイトや、内容の古い記事、検索意図に一部しか答えていない記事が上位に混ざっていれば、入り込む余地があります。
見るべきはサイトの規模だけではありません。上位の記事がそろって触れていない論点や、情報が古くなっている箇所があれば、それが自社の記事で埋められる差になります。
検索ボリュームの数字を過信しない
無料・有料のツールで表示される検索ボリュームは、推計値です。ツールによって数字が大きく違うことも珍しくありません。数字の絶対値で判断するより、候補同士の大小を比べる目安として使うほうが安全です。
また、検索ボリュームが小さい言葉でも、成果に近ければ前の章の計算で十分に価値が出ます。数字が小さいことを理由に候補から外すのは、成果地点との距離を確認してからにします。
優先順位をつけてページに割り当てる手順

勝てるかどうかの判断が済んだら、残った候補に順番をつけ、どのページで扱うかを決めます。ここで手を抜くと、似た記事が何本もできて互いに評価を分け合う状態になります。
3つの軸で優先度を決める
優先度は次の3つの軸で決めます。
| 軸 | 見ること | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 成果への距離 | 問い合わせまでの近さ | 近い層ほど優先する |
| 勝ちやすさ | 上位の顔ぶれと自社サイトの力 | 入り込む余地がある語を優先する |
| 書ける根拠 | 自社の実務経験や一次情報 | 自社にしか書けない材料がある語を優先する |
3つの軸がそろう言葉から書き始めます。検索数は、同じ評価の候補が並んだときに順番を決める材料として使います。
書ける根拠の軸は見落とされがちです。GoogleはE-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼性)の観点を含め、ユーザーを第一に考えたコンテンツを評価すると説明しています。自社が実際に扱っている業務の言葉ほど、経験に基づいた記事が書けます。
https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/creating-helpful-content?hl=ja
同じ意図のキーワードは1ページにまとめる
候補を並べると、「SEO 外注 費用」と「SEO 外注 料金」のように、言い回しは違っても同じ答えを求めている言葉が出てきます。それぞれ実際に検索して上位の顔ぶれがほぼ同じなら、同じ意図とみなして1ページにまとめます。
別々の記事にすると、どちらのページを上位に出すべきかが検索エンジンにとって曖昧になり、両方とも伸びない原因になります。上位の顔ぶれが大きく違う場合は、意図が異なるので分けて扱います。
キーワード管理表に残す項目
選んだキーワードは、表計算ソフトで管理表にまとめます。最低限、次の項目を残しておくと、後から選び直すときの判断材料になります。
- キーワードと、同じページで扱う関連語
- 問い合わせまでの距離(近い・中間・遠い)
- 選んだ理由(上位の顔ぶれ、書ける根拠)
- 担当するページのURLと公開日
- 公開後の掲載順位と、そのページ経由の成果
選んだ理由を書き残しておくことが大事です。数か月後に成果が出なかったとき、選定の判断が間違っていたのか、記事の中身が足りなかったのかを切り分けられるからです。
選定がうまくいかなかったサイトの選び直し方

すでに記事を何十本も出しているのに成果が出ない場合、新しいキーワードを探す前に、既存の記事と狙った言葉のずれを直します。上位の解説記事は新しく選ぶ手順が中心ですが、運用中のサイトでは、選び直しから手をつけるほうが作業の無駄が少なくなります。
既存記事とキーワードを突き合わせる棚卸し
まず、公開済みの全記事を一覧にし、それぞれが狙ったキーワードを書き出します。狙ったキーワードの記録が無い場合は、タイトルと見出しから推測して埋めます。
次に、Search Consoleで各ページのクエリを確認し、実際に表示されている言葉と、狙った言葉を並べます。この2つがずれている記事は、狙いが検索意図と合っていないか、記事の中身が別の言葉のほうに寄っている可能性があります。
表示回数と順位で記事の扱いを分ける
表示回数は多いのに掲載順位が低い記事は、テーマの選び方自体は合っていて、中身が上位に届いていない状態です。この場合はキーワードを変えるより、上位の記事と見比べて足りない論点を補うリライトのほうが近道です。リライトの進め方は別の記事で詳しく扱っています。
https://qujiraseo.com/blog/kiji-rewrite-kotsu/
一方で、掲載順位は高いのにクリックされない記事は、タイトルと説明文が検索者の求めるものとずれているか、検索結果の見せ方で他のページに負けている可能性があります。本文より先にタイトルを見直します。
意図が重なった記事は統合を検討する
棚卸しの途中で、同じ意図の言葉を複数の記事で狙っていることが分かる場合があります。そのときは、評価の高いほうの記事に内容をまとめ、もう一方のURLからは恒久的なリダイレクト(301)でまとめ先へ転送するのが基本です。
Googleは、重複するURLを1つにまとめる方法として、リダイレクトやcanonicalタグの使い方を公式に説明しています。
https://developers.google.com/search/docs/crawling-indexing/consolidate-duplicate-urls?hl=ja
注意したいこと
統合するときは、消す側の記事に独自の情報や被リンクがないかを先に確認します。まとめ先の記事にその情報を移さずにリダイレクトすると、読者にとっても評価の面でも損になります。
選び直しでやってはいけないこと
選び直しの場面で起きやすい失敗が3つあります。
- 成果が出ない記事をまとめて削除する: 表示回数やリンクが残っている記事まで消すと、サイト全体の流入が減ることがあります。削除は統合やリライトで救えないと判断した記事に限ります
- キーワードだけを差し替える: タイトルと見出しの言葉を入れ替えても、本文が別の意図に答えたままなら評価は変わりません
- 一度に全部を直す: 何を直したから順位が動いたのかが分からなくなります。成果に近い層の記事から順に、数本ずつ手を入れて変化を見ます
選び直しの目的は記事を減らすことではなく、1つの意図に1つの強いページがある状態に戻すことです。そのうえで、成果に近いのにまだ扱っていない言葉が見つかれば、新しい記事として足していきます。SEOの効果が出ない原因の切り分け方は、次の記事も参考にしてください。
https://qujiraseo.com/blog/seo-koka-denai/
よくある質問
キーワードは何個くらい選べばよいですか
決まった数はありません。前半で説明したように、目標の成果件数から必要な訪問数を割り戻し、それを1記事あたりの想定訪問数で割ると、必要な記事数の目安が出ます。その本数に見合うだけの候補を、優先度の高い順に選びます。
検索ボリュームが少ないキーワードは狙う意味がありますか
問い合わせに近い言葉であれば意味があります。検索数が少ない言葉は上位のページも少なく、比較的届きやすいことがあります。ただし、ツールの数字は推計値なので、少ないという判断自体も目安として扱ってください。
有料ツールは必要ですか
最初の選定は、営業記録、Googleのサジェスト、Search Console、実際の検索結果の確認だけでも進められます。記事数が増え、競合サイトの流入キーワードを網羅的に調べたい段階になったら、有料ツールを検討する流れで十分です。
一度決めたキーワードはどのくらいで見直すべきですか
新しい記事は、公開してから検索結果に安定して表示されるまでに時間がかかります。公開直後の順位で判断せず、数か月単位で掲載順位と成果を見て、管理表に書いた選定理由と照らし合わせて見直します。
まとめ
- キーワード選定は、成果地点を1つに決め、目標件数から必要な訪問数を逆算するところから始める
- 候補は営業記録、サジェスト、Search Consoleなど、顧客と自社の手元にある言葉から集められる
- 勝てるかどうかは、検索数ではなく実際の検索結果の顔ぶれと検索意図で判断する
- 優先度は「成果への距離」「勝ちやすさ」「書ける根拠」の3軸で決め、同じ意図の言葉は1ページにまとめる
- 成果が出ていないサイトは、新しい言葉を足す前に既存記事との突き合わせと統合から手をつける
キーワード選定は一度で終わる作業ではありません。選んだ理由を記録し、成果と照らし合わせて選び直すことで、少ない記事数でも成果につながるサイトに近づきます。
